雅 -イグアナ

MIYABI -iguana    2020.2

レジン

size: 227×158サムホール

純銀箔粉で着色を施した美しい絵巻のような作品です。

金属粉ならではの独特の細かい輝きが目を引きます。

厚さ2ミリ弱の薄いレジン板に仕上げたこの作品は、レジンの造形といういう意味で新たに一歩進んだ技術の考案となり、平面タイプの凹版レジンアート作品が安定して作れるようになりました。

アートで金銀箔を使うことは珍しいことではなく、一般的な形状の極薄紙状のものやフレーク状のものを貼ったり散りばめたりした作品は多くあります。

今回の作品は純銀箔をパウダー状まで細かくしたものをパステル画のように使うという少し珍しい使い方で独特の輝きとなりました。

今回使用した純銀箔は、京都の製箔所で手打ちした銀箔を酸化変色しにくいコーティングと着色を施したもので、このような加工を施した銀箔は世界で日本にしかみられないそうです。

奈良·平安時代から芸術に用いられ、その後は美術品や建建築物に使われてきた金銀箔。

江戸時代になると金銀箔は幕府の統制下に置かれ箔屋数は衰退。

さらに第二次世界大戦時は金製品が没収された話は知られていますが、金箔の製造販売使用も例外ではなく政府の統制下になりました。

その中で銀箔を金色に着色する技術が生まれたそうです。

今は当たり前に目にして手にすることができる金銀箔も、こうした日本の歴史に翻弄されながらも脈々と続けられ、伝統と新しい技術を融合して提供されているものなのです。

そんな背景を知り、日本人特有の美意識、上品で優美な様を表す「雅やか」から名前をつけました。

参考:山村製箔所HP